脂質異常症
Dyslipidemia
脂質異常症
Dyslipidemia
脂質異常症は、血液の中のコレステロールや中性脂肪の数値に異常をきたす病気です。
LDLコレステロール(悪玉コレステロール)が多い、HDLコレステロール(善玉コレステロール)が少ない、中性脂肪が多いことが問題とされています。糖尿病と同様に自覚症状はありませんが、治療せずに放置すると血管の内側に脂が付着しプラークを形成して動脈が硬化し、様々な合併症を引き起こします。特に心筋梗塞と脳梗塞は重大な合併症です。一度できたプラークは簡単には消えず、蓄積されるため、早期の治療が重要となります。
食事療法と運動療法はいずれの病態にも非常に効果的です。それでも不十分な場合はお薬で治療しますが、若い女性の方は、今後の妊娠の可能性を考慮すると慎重にお薬を選択しなければなりません。
コレステロールが高い原因には、肥満などの生活習慣、甲状腺機能低下症のほか、遺伝性の場合があります。また、閉経後はコレステロールが高くなる傾向がありますので注意が必要です。
当院では、脂質異常症を専門にする「動脈硬化専門医」が治療にあたります。
LDLコレステロールの場合、ほかに疾患がなくても>160mg/dLで治療対象となります。高血圧や喫煙者は<140mg/dL、糖尿病や腎臓疾患がある場合は<120mg/dL、狭心症や心筋梗塞の既往がある場合は<100mg/dLが目標値になります。
家族性高コレステロール血症は、遺伝的にコレステロールが高い病気です。
一般的にLDLコレステロールが非常に高く(>180mg/dLで疑い)、食事療法や運動療法も効果が乏しいため、早めにお薬で治療すべきとされています。治療を急ぐ理由は、LDLコレステロールが長期間にわたって高値となるため、遺伝性でないものと比較すると動脈硬化のリスクが高く、心筋梗塞を発症しやすいからです。
治療薬は、ほかの脂質異常症と同様ですが、それでも効果がない場合は機械的にコレステロールを除去する治療法もあります。
動脈硬化は、血管の内側に脂が付着して血管が硬く、狭くなった状態です。脂質異常症のほかにも、高血圧、糖尿病、喫煙などが原因で動脈硬化が進行します。心臓の血管が狭くなると心筋梗塞、脳の血管や頸動脈が狭くなると脳梗塞、足の血管が狭くなると閉塞性動脈硬化症(足が痛くて歩けなくなる)の危険性が高まります。
当院では、合併症の危険性を的確に把握するため、頸動脈超音波と動脈硬化測定器(血管年齢が算出されます)を使用し、日常生活での注意点をお伝えしています。